中国で見つけたガラクタ 第二章

1986年中国初上陸以降、中国や台湾で発見した「ガラクタ」の様な出来事を紹介するBLOGの第二章です。

ここまで言えると気持ちいい

ドイツのリニアモーターカーの事故から上海のリニアモーターカー及び上海市政府幹部への批判と展開した論説ですが、こうまでストレートに言えると、すごく気持ちいいです。

ちょっと長いですが、NB(日経ビジネス) onlineからの引用です。
独リニア事故と上海市書記の解任の間にあるもの
2006年9月27日 田中 信彦

<その1>
悪いことは重なるものだ。上海の金看板のひとつであるリニアモーターカー、その惨事が、本家のドイツで発生した。上海でも8月、走行中の車両が突然火を噴くという事故が起きたばかり。乗客数の低迷は相変わらずで、鳴り物入りでスタートした上海リニアは前途多難の様相をますます濃くしてきた。

◆リニアへの信頼が大きく揺らぐ

ドイツのリニアモーターカーの大事故は日本でも詳しく報道されているから、よくご存じのことと思う。原因は運行管制センターが適切な指示を怠った人為的ミスとされているが、最先端のシステムを誇るはずのリニアがかくも単純な原因で大惨事を起こすという事実に、中国政府や市民の受けた衝撃は大きい。

中国国内のメディアはドイツでの事故を詳細に伝え、同時に「この種の事故は上海では起こり得ない」と再三強調している。たとえば、中国国営通信社、新華社ネット版は「中国は正式な商業運転なので、線路上に異物を感知すると自動的に運行を停止する装置が付いている。ドイツは試験線のためこの装置がなかった」と指摘、上海リニアは安全だとしている。

しかし同時に「リニアは車輪がないため、電磁系統にトラブルが生じた場合、車両が軌道にへばりついてしまい、修理が難しい。普通の列車のように簡単に引っ張ってくるというわけにはいかない」などとリニアモーターカー自身の構造的な問題を指摘、「現在、専門家グループが安全基準と万一の際の救援方法の検討を始めている」と伝えている。

◆バッテリー故障?で火を噴く

この惨事に先立つこと約1カ月半、上海のリニアが走行中に火を噴いたのは8月11日のことだ。幸い人的被害はなかったものの、上海の誇る金看板が煙を出して立ち往生する様子が世界に伝えられ、市当局のプライドが傷ついたことは間違いない。事故原因は「バッテリーの故障」と伝えられているが、詳細は明らかになっていない。

これ以前にも上海のリニアは細かな技術的トラブルが頻発、営業成績の不振と相まって関係者の苛立ちが高まっていた。先頃は一種の団体割引の導入で運賃を片道30元(日本円約420円)と試験運転開始時の5分の1にまで値下げする措置を発表、営業面の課題も深刻化している。

そこへ営業運転中の火災という重大事故の発生で、内部には「ドイツからの技術供与を見直すべきだ」との意見が広まっていると地元メディアは伝えていた。まさに泣きっ面に蜂というか、そんな状態に追い打ちをかけたのが今回のドイツでの大惨事だったのである。

<その2>
もともとリニアモーターカーがまだ成熟度の低い技術であることは、中国国内も含めて関係者の間では常識だった。考えてみればドイツでも日本でも、長年研究を続けながらまだ本国では実用化していない。コスト的にもいわゆる「新幹線型」の高速鉄道に比べればかなり高いことも分かっていた。筆者が1990年代半ばに関係者にインタビューした時も、中国の鉄道専門家たちは決してリニア導入に積極的だったわけではなかった。

◆メンツでリニア、F1、万博を「導入」

ではなぜ、中国はそんなものを慌てて高い代価を払って購入したのか。端的に言ってしまえば「為政者のメンツ」と言うしかない。上海リニアがテスト運行を開始したのは2003年1月1日。この時、上海は直前の2002年末に2010年の万博開催が決定、得意の絶頂にいた。

世界中の関係者の度肝を抜く壮大なF1サーキットが上海近郊にオープンしたのは2004年9月のことである。周辺整備なども含め日本円で1000億円以上かかったといわれる。

これらの壮大な投資がすべて無駄とは言わない。大国の統治には大国なりの論理があるのであろう。しかしこれらの「派手なもの好き」「世界一好き」の体質が為政者のパーソナリティや個人的なメンツと無関係だったとは思えない。そのツケを払わされるのは結局のところ普通の国民である。

◆上海のトップ、陳良宇氏の解任

奇しくも24日、上海市共産党委員会書記の陳良宇氏が汚職疑惑で解任されるというニュースが伝えられた。陳氏は、かつて上海のトップで、その後、中国の指導者として権勢を振るった江沢民・前国家主席の腹心とされる。解任の背景には、大都市への巨額の投資で急速な経済成長を遂げようとする「上海派」と、農村を重視し、安定的な成長を実現しようとする現体制との深刻な対立があると見られている。

この国は政治が決断すると、大抵のことはそのまま実現してしまう。これはスピーディーな意志決定ができる面もあるが、上海リニアの顛末を見ていると、独裁のシステムは長い目では結局高くつくという見本のような事態だと思う。

上海リニアの失敗はドイツの技術の問題ではない。明らかに中国政治の問題である。 NB onlineより

確かに必要ないと思われるところにお金を使う傾向は昔からありましたが、ここ数年は(彼らのお金だから文句を言う筋合いもないが)目に余る浪費が目立っていました。
長い間権力の座にいると感覚が鈍るんでしょうが、それにしてもその麻痺ぶりには改めて驚きます。

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