中国で見つけたガラクタ 第二章

1986年中国初上陸以降、中国や台湾で発見した「ガラクタ」の様な出来事を紹介するBLOGの第二章です。

賃金上昇

オリンピックを無事終え、中国はいよいよ経済大国としての地位を固めつつありますが、安い労働力を求めて中国進出してきた企業には厳しい時代がやってくるかもしれません。

より安い労働力を求めて、内陸に進出するか、人海戦術的な生産方法を改善していくのか、ローテク工業は別の国に移すのか、今後頭が痛いところです。
中国、止まらぬ賃金上昇 「所得倍増計画」に企業悲鳴 2008年8月25日6時1分 asahi.comより

中国での賃金上昇が止まらない。「世界の工場」として多くの国の企業が進出する沿岸部の都市では今年、最低賃金が前年比で約2割上昇。広東省は12年までに所得を2倍にする計画を打ち出した。人民元高や原材料の高騰も響き、企業の経営環境は厳しさを増している。

7月3日、広東省深圳の北部にある日本の中小企業向け工業団地「テクノセンター」に、1枚の通知が届いた。深セン市の労務当局からだった。

「今月から最低賃金を月900元(約1万4千円)とする」

6月までの最低賃金は750元。一気に20%の引き上げだ。深圳市政府は04年から毎年、最低賃金を引き上げており、この3年でほぼ2倍になった。「上がるのは覚悟していたが、まさか2割とは」。テクノセンターの佐藤征洋社長はため息を漏らす。

賃金の上昇は、消費者の購買力を底上げし、企業にとってもプラス効果が大きい。ただ、コストの削減に追われる中小・零細企業には負担となってのしかかる。

テクノセンターには、自動車や機械の部品などをつくる49社が入っている。いずれも大企業からのコスト削減要求に苦しむ中小企業だ。入居企業の一つ、プラスチック加工業の日彩化工は、原油高の影響で赤字に転落した。そこに、今回の賃上げ。川副哲社長は「月1500万円の人件費が約300万円増える。苦しいよ」と訴える。

深圳の経済特区内は7月に中国で初めて最低賃金が1千元の大台に乗った。上海も4月、840元から960元に改定された。7カ月前に12%引き上げたばかりで、上昇ペースが速まっている。

さらに広東省は7月初め、個人所得を12年までに07年の倍にする計画を明らかにした。08年から少なくとも3年間は、最低賃金を毎年、1割以上引き上げるという。

上がっているのは最低賃金だけではない。「高温手当」という新たな制度が、今年から各都市で始まった。6月から10月まで、気温が33度以上の職場だと月150元、33度未満なら100元を支払う制度だ。

広州でメガネレンズを製造するHOYAも、6月から約400人の従業員に高温手当を払い始めた。現地法人の北田信孝社長は「工場は冷房がきいているけど、全員に100元払っている」という。

賃上げの最大の要因は、物価の高騰だ。中国の消費者物価指数の上昇率は2月から3カ月連続で8%台。肉など食料の値上がりが激しく、「物価上昇以上に給料を上げないと、実質減収になる」(上海の精密機械メーカー)という事情がある。

賃金への不満は、ストライキにつながることもある。

広東省東莞で複合コピー機を製造するコニカミノルタ。2月末、4800人の従業員のうち約500人が昼食後に職場放棄を始めた。職場放棄は翌週にもあり、規模は1千人近くに膨らんだ。

現地法人の鈴木誠一社長は「会社が史上最高益という情報をネットで容易に入手できるようになり、待遇改善を求める動きにつながりやすい」と話す。

05年から20%以上切り上げられた人民元、天井知らずの原材料高……。台湾企業でつくる深セン台商協会の黄明智会長は「今年に入って、深センだけで台湾企業の約8%、約150社が閉鎖、またはベトナムなどへ移転した」と話す。

台湾や香港の企業には、家具やおもちゃ、靴製造などの労働集約型が多い。総コストに占める人件費の比率が3~4割と高く、急激な人件費上昇は経営にとって致命的だ。

ただ、日本企業の工場が閉鎖に追い込まれた例は少ない。自動車や精密機械など付加価値の高い商品が多く、コストに占める人件費の比率が10%前後と低いためだ。

しかし、テクノセンターの佐藤社長は、人件費の上昇がさらに続いた場合への危機感を募らせる。「これからは日本と同じように機械化を進め、なるべく人を使わない工夫も必要になってくる」(香港=奥寺淳)

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